「時と場所を問わず利用できる」というインターネットの特性を最大限に生かした越境EC事業の展開先として候補に挙がるのが、世界最大のEC市場を擁する中国です。
経済産業省の調査(※1)によると、2021年時点で中国のEC市場規模は2兆4,886億米ドル(348兆4040億円、1米ドル=140円換算)。2位のアメリカと比べても圧倒的です。越境ECについても、2021年の市場規模は1773億米ドル(24兆8220億円、同)と世界1位で、今後も成長が見込まれています。
中国の越境 EC 利用者の5割弱が「SNSやリンク先」「友人/家族のすすめ」などの口コミを利用して、商品を見つけています。
経産省がEC 専門事業者にヒアリングしたところ、「中国の小売業界では、EC 市場も『偽物』や『品質を過大にアピールする誇大広告』『中古品を新品表示』などのケースが多いことから、他人の評価を参考にして購入する傾向が強い」ことがわかりました。
利用者は「『SNS 上の多くの他人の意見・評価』や『信頼できる友人、家族からのコメントや推薦』を考慮しながら行動としているのではないか」との見解がEC専門事業者から寄せられました。
以上のことから、中国での越境EC事業の成功の鍵はSNS戦略が握っているといっても、過言ではありません。ここでは、中国版Instagramとして若者から絶大な支持を集めている「(RED(小紅書)」について解説します。
※1 経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005-h.pdf
RED(小紅書)とは
中国において、おしゃれや流行に敏感な若い女性を中心に人気を集めているSNSが、中国版Instagramとも呼ばれる「RED(小紅書)」です。利用者の多くは18〜30歳の女性で、比較的エリートのホワイトカラー層であるという特徴があります(※2)。
小紅書の設立は2013年。Instagram同様、写真や動画に文字を添えて投稿する機能だけでなく、2014年からはEC機能が追加され、生配信の機能も備えています。
リリース翌年にEC機能が追加された理由は、誰かが購入した商品の写真を紹介すると、その投稿を見た人がその商品に興味を持つといったことが続き、投稿をきっかけに商品が他のECサイトで売れるケースが多かったためでした。EC機能が追加されたことで、アプリ内で情報収集から購入まで完結できるようになりました。 REDは、消費者の購買までの意思決定速度が早いという特徴があります。
これらの経緯や特徴を鑑みても、若い女性をターゲットにした越境EC事業を展開したいと考える日本企業にとって、とても相性の良いSNSといえるでしょう。
※2 Cross-Border Next「【2022年版】小紅書(RED)の登録方法と危険性とは?ダウンロードせずに見る方法も解説」
https://www.cbn.co.jp/archives/32862
RED(小紅書)での企業公式アカウント取得メリットと、KOLについて
小紅書のアカウントは、大きく「一般アカウント」「公式アカウント」の2つに分けられます。中国では「偽物」や「成りすまし」が少なくないため、小紅書側に規定の書類や担当者情報などを提出し、審査を通過するという手間がかかります。
しかし、公式アカウント認証を取得することには大きなメリットがあります。登録は日本の電話番号でも可能です。すでに中国で越境EC事業を展開している日本企業の多くが、小紅書に公式アカウントを開設して日々運用しています。
公式アカウントを取得することで、消費者に安心材料を提供できるほか、小紅書内に店舗を構えたり、ブランドに関連する投稿のタグ付けをしたりできるようになります。そのほか、内部広告を出稿したり、PV数や訪問者属性などのデータを見たりといったことも可能です(※3)。
また、公式アカウント取得と並行して、小紅書でのマーケティングに欠かせないのが、中国版インフルエンサーともいわれるKOLです。「Key Opinion Leader(キーオピオニオンリーダー)」の略で、消費者の購買意志決定の際に強い影響力を持つ、何らかの専門性を持ったインフルエンサーを指します(※4)。
通常のインフルエンサーとの違いは、特定の専門知識を持っていること。例えば、ある宝飾品を紹介したい場合、ただフォロワー数が多いだけのインフルエンサーではなく、ジュエリーコーディネーターの資格を持つなど、専門知識を持つKOLの言葉に説得力を感じる消費者は多いでしょう。また、年々成長を続ける生配信機能を使ったライブコマース市場でも、KOLは強い味方になります。リアルタイムで質問されたとしても、KOLであれば専門家の観点から適切な答えを視聴者に届けられるので、視聴者としても納得して買い物ができるのです。
口コミを重要視する中国の消費者へのアプローチとしてKOLの存在はなくてはならないものになっています。日本企業をはじめ、多くの事業者がKOLに商品の紹介を依頼し、成果を上げているのです(※5)。
※3 ENJOYJAPAN「【小紅書・RED】企業公式アカウントの運用方法8選」
https://enjoy-japan.jp/column/china-social/red-official-account/
※4 LIFE PEPPER「RED-小紅書を活用した中国インフルエンサープロモーション」
https://lifepepper.co.jp/china/redpromotion-service/
※5 36Kr Japan「ソーシャルEC「小紅書(RED)」、ライブ配信は独自路線 CVRと客単価が最優先」
https://36kr.jp/74872/
中華圏の特殊事情に配慮しつつ、効果的なSNS活用を
中国にはインターネットやSNSアプリの利用規制があります。香港・マカオ・台湾を除いた中国本土におけるネット検閲システムで、「グレート・ファイアウォール」または「金盾(きんじゅん)」と呼ばれるものです。SNSやWebサイト、政府に対する批判的な意見やニュース、アダルトサイトなどが規制対象です。そのためInstagramではなく小紅書が普及するなど、SNSにおいて独自の発展を遂げています。
口コミ社会である中国において越境EC進出を目指すなら、SNSを使ったWeb・デジタルマーケティングは必要不可欠です。中国独自の事情に配慮しつつ、サービスや商品のアピールをすることで、これまで届かなかった客層にリーチすることが可能になるでしょう。
RED(小紅書)やKOLを上手に活用し、中国への越境EC進出に踏み出すために
巨大EC市場である中国。越境EC事業の進出を目指すなかで、調べれば調べるほど同国の特殊な事情に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。
WorldShopping BIZはそんな事業者様に、スタートラインに立ってもらうためのサービスです。サービス利用の際は、御社のECサイトにタグを一行埋め込むだけで、海外の消費者に対応いたします。個別の売上手数料や海外送料は一切かからず、月額の費用をお支払いいただくだけで、海外発送必要書類の発行や梱包・検品・配送といった業務も代行。中国への越境EC進出をサポートします。
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