日本の人口が減り続け、市場が縮小することが確実ないま、越境ECで世界市場へ出ようとする国内ショップが増えています。しかし、目を背けられないの問題の1つに返品・返金の文化です。世界では日本よりも厳しい返品問題が存在します。当然ながらその国の返品・返金文化に対応できなければ販売は難しくなります。
今回は、世界の返品事情についてご紹介します。
世界の返品事情
中国の返品事情
中国のEC販売では、購入者が商品を受け取ってから七日以内であれば、開封した商品・破損が確認できる商品など一部の例外を除き、理由を問わずに返品できる「中華人民共和国消費者権益保護法」第3章第25条「七天無理由返品」があります。
そのため、ダブルイレブンなど販促キャンペーン付きで大々的に販売が行われるタイミングでは、「購入特典」目当ての客が特典だけをもらって商品を返品するケースが相次ぐもあります。
「七天無理由返品」の例外として以下にあてはまるものがあげられます。
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- オーダーメイド品
- 腐りやすい生鮮食品
- オンラインでダウンロード済みまたはすでに開封された音響・映像製品・コンピューターソフトウェアなどのデジタル品
- 引き渡し済みの新聞紙や定期刊行物
アメリカの返品事情
アメリカの返品に関する法律は比較的緩やかです。例えばカリフォルニア州の場合、小売業者が中国のように必ず返品を受け付けなければいけないというものはありません。
カリフォルニア州民法(California Civil Code Section 1723)では、小売業者が返品ポリシーを店舗内やウェブサイト上で明示的に表示しない場合、購入者に「返品不可」「返金不可」の条件を適用することができないとされています。その場合、購入者は商品購入後7日以内に返品を要求する権利があります。要するに、書いておけば返品返金は不可能ということになります。
では、気にしないで販売できるかというと、そんなことはなく、多くの小売業者が返品・返金を受け付ける柔軟な返品ポリシーを採用しています。そのため、購入者は返品出来るところを選んで購入します。2022年12月23日のNewYorkTimesでホリデーシーズンにおける各有名企業の返品ポリシーが紹介されていました。
- Amazon:10/11~12/25の間に購入されたほとんどの商品は 2023/1/31まで無料返品の対象となり、Prime Early Access やブラックフライデーのセールで購入したものはすべて返品できます。本来のAmazon の標準返品ポリシーでは、購入後30日以内のみ無料返品が可能です。
- Apple:通常、購入品の返品を14日間無料で受け付けています。ただし、ホリデー シーズンの返品ポリシーでは、Apple Online Store で購入し、11/4~12/25の間に受け取ったほとんどの商品について、この期間が2023/1/8まで延長されます。
- Walmart:標準の90日間の返品期間外でも、10/1以降に購入された商品の返品ポリシーを2023年1月31日まで延長しています。
NewYorkTimesで返品ポリシーの変更が特集されるほど、アメリカでは返品文化が根付いていると言えるでしょう。
台湾の返品事情
台湾では、消費者保護法が定められていて、購入者に商品を受け取った翌日から7日間の返品保証を提供することが義務付けられています。これはEC取引も対象です。
購入者は理由を問わずに返品または契約解除が可能となります。ただし返品にかかる送料は消費者負担となります。商品の欠陥など小売業者に過失がある場合は販売者負担となります。
「消費者保護法」の例外として以下にあてはまるものがあげられます。
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- オーダーメイド品
- 腐りやすい生鮮食品
- オンラインでダウンロード済みまたはすでに開封された音響・映像製品・コンピューターソフトウェアなどのデジタル品
- 引き渡し済みの新聞紙や定期刊行物
- 電子書籍
- 開封された衛生用品
- 国際航空券
小売業者が消費者保護法に違反すると、新台湾ドル1万~100万(約5万~500万円)の罰金が科されます。
韓国の返品事情
韓国では、購入者が商品を受け取ってから7日以内であれば、返品の理由に関係なく、返品または契約解除を求める権利を持っています。小売業者は3営業日以内に返金手続きをする義務があります。
またCoupangやG-Marketなどの多くの大手ECモールが法律以上に手厚い返品ポリシーを設けています。例えばCoupangであれば、返品したい商品を梱包もラベル貼りもせず、ドアの前に置くだけで返品手数料もなくその日のうちに返品できる体制があります。
これにより、韓国消費者の返品に関する期待値を上げている背景もあり、返品ポリシーが寛容でないと販売のハードルが上がってしまう背景がありそうです。
返品の例外として以下にあてはまるものがあげられます。
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- オーダーメイド品
- 食品・健康食品(未開封は返品可)
- オンラインでダウンロード済みまたはすでに開封された音響・映像製品・コンピューターソフトウェアなどのデジタル品
ECで購入した商品をなぜ返品するのか
返品理由として多かったのはサイズ違いで70%
返品は世界中で行われていて、POWER REVIEWSが7,688人の消費者を対象とした調査によると、返品理由として多いのは「サイズが合わなかった(70%)」、「商品が破損または不良品だった(65%)」、「商品が説明と一致しなかった(49%)」となっています。
ECで注文した商品を決して返品しないと回答したのはわずか12%
商品を「決して」返品しないと答えた買い物客はわずか12%しかいませんでした。また、年収別の傾向を見ると、25,000ドル未満の収入がある人は、返品しないと答える割合が22%で最も高く、100,000ドル以上の収入がある人は最も低く (わずか 5%) なっていて、年収が高い人ほど返品を好むという結果になっています。
平均的な返品コストは元の購入価格の15%から30%に上る
専門家は、平均的な返品コストは元の購入価格の15%から30%であると推定しています。返品によって小売業者が被る損失は累計で年間5,500億ドルに上ります。
参照:https://www.powerreviews.com/consumer-survey-retail-returns-2021/
海外へ販売するときは返品問題にも気を配ろう
多くの国で返品は一般的なものになっていて、多くの小売事業者にとって大きな負担になっています。海外モールに出店したり、自社越境する場合はこれらの問題からは目を背けることは出来ません。WorldShoppingでは、海外カスタマー都合の返品は受けておらず、納得の上で購入を行い決済が行われる仕組みになっています。
越境ECをやる場合は、返品問題にもしっかりと目を向けて対策を講じていきましょう。