越境ECとは、国を超えてECサイト上で行われる電子商取引のことです。スマートフォンの普及やネットインフラの発達により各国で急成長しています。越境ECの中で近年注目されている商品の中に、コスメ・化粧品があります。
参考:越境ECとは|今すぐ始めるべき理由と可能性について解説
日本の化粧品は、海外のユーザー、特にアジア圏にとても人気があります。実際に調査データをもとにそれぞれ見ていきましょう。Jetroが「日本から越境ECで何を購入したか」を調査していますが、化粧品を買っているというデータが出ています。
参考文献:JETRO「中国の消費者の日本製品等意識調査」に基づき弊社作成
越境ECを通じて直近1年以内に購入した日本の商品について聞いた調査結果ですが、1位「基礎化粧品」46.9%、2位「メイクアップ化粧品」46.1%、5位「フェイスケア用品」37.8%、9位「ボディケア用品」27.8%と、高い人気を誇ってることが分かります。
中国のショッピングイベントのダブルイレブンでも、日本の人気商品カテゴリで化粧品は上位に来ています。(2017年調査)
引用:2017年中国シングルデー(独身の日)、日本勢の健闘ぶりは如何に?!
2017年調査の「シングルデー(独身の日)人気商品カテゴリ(天猫国際)」ですが、1位「化粧品」と実際のデータでも販売数がとても多く人気の高さがうかがえます。
(資料)JETRO「中国の消費者の日本製品等意識調査」に基づき弊社作成
JETROの調査に寄ると、日本の製品をなぜ買うのかという点で、1位「品質」69.6%、2位「ブランド」58.6%、3位「安全性」56.8%、4位「価格」54.5%、5位「デザイン」40.4%となっていることからも分かるように、日本の化粧品の品質が高いこと。他にも、日本の化粧品の安全性、ブランド力、価格(円安など)など、安心面が大きな要因になっていると考えられます
台湾進出や訪日インバウンドマーケティングを行っている株式会社maippleが10代~30代の台湾の女性300人にアンケートを取ったところ、日本コスメが人気という調査結果が明らかになりました。
引用:台湾人女性300人にアンケート !〜コスメの関心・意識調査〜台湾人女性が1番メイクにこだわるポイントは?
こだわり無しが半数ほどいますが、それを除くと1位が日本コスメで21%という結果に。また、同じ調査で買う際の選択要因を聞いているのですが、品質が70%で1位ということから日本コスメの品質が高いから購入しているのであろうと考えられます。
国内の化粧品のEC市場は、年々拡大傾向にあります。富士経済の調査(※1)によると、2020年の国内化粧品EC市場は3,757億円で、2019年と比べると20.6%増加しています。また、化粧品市場全体に占める化粧品EC事業の割合が13.7%だということもわかっています。
メーカー別に見ていくと、ECへのシフトが最も進んでいるのは通信販売系メーカーです。2020年時点で約半数の46.8%が、ECにシフトしていることがわかっています。元々発行していたカタログ発行部数を減らし、その分のコストをECサイト構築に回すメーカーが増えています。
次いでECへのシフトが進んでいるのが、カウンセリング系化粧品メーカー。新型コロナウイルス感染拡大の影響で実店舗自体が臨時休業したことなどを受け、ECに注力するメーカーが増えました。
ECサイトを通じて化粧品を購入することに消費者が慣れてきているため、新型コロナウイルスが収束したあとも、ECサイトを通じた商品購入は今後も続くことが予想されます。
(※1)富士経済「新型コロナウイルスを契機に拡大する化粧品EC市場の現状と将来展望」
越境ECで化粧品を販売しようとする場合、販売国の規制事情をしっかりと理解しておく必要があります。例えば日本の化粧品の人気の高い中国には「中華人民共和国電子商務法」というものがあり、中国国内だけでなく中国の消費者に向けて「EC販売」を行っている個人や事業者も適応される法律です。
中国に向けて、化粧品を輸出する場合には「NMPA(中国国家薬品監督管理局)」の行政認可を取得する必要があります。化粧品は特殊化粧品と普通化粧品に分類されます。
どちらも申請フローは同じで、
という流れで行われ、非常に手間と時間がかかるのが特徴です。
CCC認証(中国強制認証制度)は主に電気製品や精密機器に関して輸入してよいかどうかを中国政府が審査する制度です。化粧品のみで越境ECするのであれば不要ですが、美容機器などの販売を考えている場合はこちらの対応も必要になってきます。
国内外で化粧品のEC市場は拡大傾向にあります。
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