【2023年最新版】越境ECの市場規模について
近年、スマートフォンなどのデジタルデバイスが普及し、手軽にECサイトを利用できるようになりました。
また、SNSの普及により情報交換も活発になりECサイトで海外の商品を購入する「越境EC」の利用者も増加傾向にあります。新型コロナウイルス感染症の影響により渡航制限が敷かれたことで、越境ECの注目度はさらに高まりました。この記事では公的な調査に基づいた数値をもとに、越境ECの市場規模と今後の動向について解説します。
参考:越境ECとは|今すぐ始めるべき理由と可能性について解説
世界の越境ECの市場規模とEC化率
成長が止まらない世界の越境EC市場
世界の越境ECの市場規模は年々拡大していており、今後も成長が続くと予想されています。2020年の世界の越境EC市場規模は9,123億USドルと推計されており、2027年には4兆8,561億USドルにまで拡大する予測となっています。年平均で30%近い伸び幅であり、かなりのハイペースで越境EC市場が伸びると予測されていることが分かります。
画像:ZION Market Research 発表データをもとに弊社作成
市場規模が伸び続ける理由
市場規模が拡大している背景として挙げられるのは、いくつかの理由があります。まず消費者の観点からすると、越境ECという手段の存在が知れてきたという点が挙げられます。「自分が住んでいる国にない商品が欲しい」「自分の国より安く買える」などのメリットが広く知れ渡ってきているという理由です。ショップの観点からすると、販売ターゲットを自国から世界へ広げることで、売上を伸ばしたいと考えるショップが増えているという理由が挙げられます。物流システムが発達し、より早く安全に商品を届けられるようになっていることも市場規模の拡大を後押ししているといえるでしょう。
参考:経済産業省『令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書』
世界のBtoC-EC市場のEC化率は、2025年には24.5%まで上昇すると見込まれていて、今以上にECサイトの重要性は上がっていくと思われます。市場規模も2022年約722兆円(5.55兆USドル)、2023年約802兆円(6.17兆USドル)、2024年約880兆円(6.77兆USドル)、2025年約961兆円(7.39兆USドル)と成長し続けると見込まれています。
中国の越境EC市場規模
▼2023年の中国越境EC市場規模は2,209億USドル
中国の越境BtoC-ECの市場規模は年々拡大傾向にあります。
経済産業省の調査報告(※1)によると、中国の越境EC市場規模(中国の消費者が日米から商品を購入した合計金額)は2019年1,264億USドル、2020年1,511億USドル、2021年1,773億USドル、2022年2,051億USドル、2023年には2,209億USドルになると予想されています。中国の越境EC市場は今後さらに拡大し続けていくでしょう。
画像出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
米国の越境EC市場規模
米国の越境BtoC-ECの市場規模も、中国と同じく拡大傾向にあります。経済産業省の調査報告(※1)によると、2020年の米国の越境EC市場規模(米国の消費者が日中から商品を購入した合計金額)は1兆7,108億円でした。前年の同市場規模が1兆5,570億円だったことから、9.9%成長していることがわかります。
経済産業省の報告書(※2)によると、2021年に米国の越境EC市場規模は2兆769億円にまで拡大すると推計されています。米国の越境EC市場についても中国同様、今後さらに拡大し続ける可能性が高いでしょう。
日本・アメリカ・中国の越境EC市場規模(2021年)
世界のEC市場では、中国とアメリカが1位と2位ですが、その両国と日本の越境ECについて経済産業省がデータを「日本・米国・中国3ヵ国間の越境ECの市場規模」として発表しています。
2021年のデータですが、日本の商品を両国とも多く購入していることが分かります。中国の消費者は日本の事業者から越境EC購入額が2兆1,382億円、アメリカの消費者は日本の事業者から越境EC購入額が1兆2,224億円となっています。このグラフを見ても分かる通り、越境ECには大きな可能性があることが分かります。
市場規模が伸びているということは、参入しているショップが増えているということになります。ショップが増えれば増えるほど競争環境は激化することには留意が必要です。
世界のEC市場規模とEC化率
世界のEC市場の市場規模はどう変化しているのでしょうか。コロナ禍において、多くの国が国境を閉鎖し、旅行制限を導入しました。これにより、多くの人々が旅行を諦めることを余儀なくされました。外出を自粛するようになり、巣ごもり需要が生まれました。この流れは日本だけでなく世界各国でも同様で、ECサイトの売上が伸び、多くのショップがECに参入しました。そのことからECの市場規模とEC化率はどの国も伸びている現状です。
日本のEC市場規模とEC化率
日本のBtoC-EC市場規模ですが、2020年12兆2,333億円から2021年13兆2,865億円と伸長率8.61%で増加しており、EC化率も2020年8.08%から2021年8.78%と伸びています。
画像出典:経済産業省「令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模は、コロナによる巣ごもり需要の追い風もあり、2020年2兆4,614億円から2021年2兆7,661億円と3,047億円の拡大、前年比12.38%となっています。
一方、コロナの影響を受け、マイナス成長になっていたサービス系分野のBtoC-EC市場規模は、前年比1.29%と伸び率はプラスに改善。金額も2020年4兆5,832億円から2021年4兆6,424億円へと592億円の拡大、わずかながら増加しました。ただ、コロナ前の2019年には7兆1,672億円の市場規模があったため、まだまだコロナ前の状態に戻るのは時間がかかりそうです。
アメリカのEC市場規模とEC化率
アメリカのEC市場規模は、2021年8,707USドルと前年比14.6%と推計されています。
画像出典:Retail Indicators Branch, U.S. Census Bureau, February 18, 2022 注:季節調整値
また、商材別の市場規模を見ていきましょう。「衣類・雑貨」が最も多く1,505USドルで前年比13.5%増加。次に「家具・建材・電子機器」が1,109億USドルで前年比1.1%増加、「車・車用品」が650億USドルで前年比30.8%となっている。
EC化率は、「家具・建材・電子機器」が13.4%と高く、「衣類・雑貨」が11.9%となっています。
まとめ:越境EC市場規模は拡大傾向。今後強化するべき
以上のように越境ECの市場規模は世界的に年々拡大傾向にあり、今後取り組みを強化すべきといえます。
インバウンドとEC
新型コロナウイルスの影響により渡航制限がかかり、日本を訪れる外国人旅行客は激減しました。日本国内でのインバウンド消費も激減しているのが現状です。一方、コロナウイルスの感染拡大が終息し、渡航制限が緩和されれば、訪日外国人旅行客が再び増えるでしょう。今までの反動でインバウンド消費も好調になると予想されます。
インバウンドが増加すると、越境ECにも好影響がもたらされます。訪日経験のある中国消費者を対象にした日本貿易振興機構のアンケート(※3)によると、越境ECで日本の商品を購入した理由として「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」と答えた消費者は全体の約40%でした。旅行先で実際に商品に触れることが、越境EC上の商品購入につながっています。インバウンドと越境ECは相関関係にあるといえるのです。アフターコロナでインバウンドが好調になり、越境ECの市場のさらなる拡大が予想されるため、早い段階から越境ECを強化する必要があるでしょう。
ウェブインバウンドの可能性
将来的なリアルでのインバウンド消費を考慮するまでもなく、消費渡航が難しいコロナウイルス下ではウェブインバウンドへの対応が重要となります。
しかし、ウェブインバウンドに取り組む上では「言語」「決済」「物流」の3つの壁があります。
まず「言語」についてですが、住所入力フォームが海外対応になっていないと入力が難しくなります。また、商品に関する問い合わせが来た場合、外国語で対応しなければなりません。
「決済」については、海外のクレジットカードに対応するだけでなく、不正決済のリスクも考慮した上で決済方法を準備する必要があります。
最後に「物流」ですが、そもそも海外発送に対応する必要があります。海外配送に適した梱包方法だけでなく、関税や禁制品についても把握しておかなければなりません。貿易に必要な書類が必要な場合もあるでしょう。
ウェブインバウンドの必要性を感じる一方で、「煩雑な業務が増えそう」「知識を新たに習得するのは難しい」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。
そんな方に向け、WorldShopping BIZでは、「言語」「決済」「物流」の3つの壁を乗り越えるためのサポートを提供しています。
・「言語」のサポート
多言語入力フォームを用意し、他言語カートも表示。他言語カスタマーサポートにより、海外の消費者の方による問い合わせにも対応できます。
・「決済」のサポート
多様な決済方法を用意します。不正決済対策も備えております。
・「配送」のサポート
配送書類の発行を行います。梱包・検品・配送もお任せいただけます。
現在運営しているECサイトがある場合は、サイトの仕組みを大きく変えることなくウェブインバウンドに対応可能です。国内の消費者には、今まで通り買い物をしていただけます。
ウェブインバウンドへの対応をお考えの方、越境ECを新たに検討されている方はぜひ「WorldShopping BIZ」をご利用ください。資料請求はこちらから可能です。
※1 経済産業省「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」
※2 経済産業省「平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
※3 日本貿易振興機構「中国の消費者の日本製品等意識調査 2017年12月」
- 執筆者
- 橿村 芽久未